脳神経外科

ご案内

診療科の特徴

当院の脳神経外科は「大切な人を まかせたい病院 まかせられる病院」をモットーにしています。われわれスタッフ自身の大切な家族や友人をまかせたい病院、そしてまかせられる病院を目指すことによって、より行き届いたこころ配りができ、充実した内容の医療の提供につながるものと信じています。

そのために、一同が常に向上心を持って手術手技の向上を目指しているだけでなく、より充実したスタッフ教育・連携の構築にも積極的に取り組んでいます。

また、患者さんとそのご家族に対しては、病状と治療内容をわかりやすく説明し、セカンドオピニオンを尊重しながら、十分なご理解のもとに治療に取り組む姿勢を大切にしています。

急性期脳卒中患者の治療とその体制

当院は、一次脳卒中センター(PSC)に認定されており、SU(脳卒中ユニット)を中心に急性期の脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の治療や看護を進めています。脳卒中専門の医師と脳卒中に熟練したコメディカルスタッフ(看護師・リハビリテーションスタッフ等)による息の合ったチームワークを誇っています。

当院の脳神経外科で行っている治療

当院の脳神経外科はすべて脳神経外科の専門医師で構成されています。 実際に行っている治療方法は、(1) カテーテルを使用した血管内治療、(2) 開頭手術を中心とした直達手術、(3) 注射・点滴・内服薬による薬剤治療、の3つです。

同じ病気であっても、患者さんの状態や血管の病変の状況に応じて、最も適した方法を3つのうちから選択して行っています。当院ではいずれの方法も経験豊富な医師が担当します。

さらに、急性期よりリハビリテーションを導入することによって、手足の動きのみでなく全身の機能が衰えないように努めています。

(1) カテーテルを使用した血管内治療

血管内治療は細いチューブ(マイクロカテーテル)を使って、脳血管の病気を治療する方法です。もっとも分かりやすく言うと「切らずに治す」治療法です。

代表的なものは、①脳動脈瘤塞栓術と、②機械的血栓回収術、③頚動脈ステント留置術です。

①脳動脈瘤塞栓術は、くも膜下出血を起こした破裂脳動脈瘤に対しても、破裂していない状態で見つかった未破裂脳動脈瘤に対しても行います。通常は脚の付け根の部分から、カテーテル(直径2mm程度)を挿入して、その中を通してマイクロカテーテル(直径0.6mm程度)を脳動脈瘤の中まで進め、脳動脈瘤の中に糸のように軟らかいプラチナ製のコイルを入れて固める治療です。

②機械的血栓回収術は、脳の太い血管に詰まった血液の塊(血栓)を回収して、血流の流れを再開させる治療です。厳しい適応基準がありますが、これにより救命のみならず、劇的に症状が回復する場合もあります。

③頚動脈ステント留置術は、著しい増加を続けるアテローム血栓性脳梗塞(いわば欧米型の脳梗塞)の代表的な病変と言える頚部内頚動脈狭窄に対してカテーテルを使って治療する方法です。これも脚の付け根の部分からカテーテルを、酸化した脂質などが壁にたまって狭くなっている頚動脈の部位まで進めていきます。カテーテルの先についたバルーン(風船)を拡げた後に、金属のメッシュ(ステント)を入れます。このステントは、自身が拡がろうとする力を持っています。

これ以外にも、動脈と静脈がつながってしまう硬膜動静脈瘻に対して異常なつながりをふさぐカテーテル治療も多数行っています。

(2) 開頭手術を中心とした直達手術

代表的なものは、脳動脈瘤クリッピング術、頚動脈内膜剥離術、(頭蓋内外)バイパス手術です。

脳動脈瘤クリッピング術は、開頭後に手術用顕微鏡で見ながら、脳動脈瘤の首の部分に金属(体の中に残しても大丈夫なもの)でできたクリップをかける治療です。破裂または未破裂のいずれの脳動脈瘤に対しても行います。

頚動脈内膜剥離術は、頚部内頸動脈狭窄に対して行う治療です。頚部を5cmくらい切って、血管の壁の中に酸化した脂質などがたまって狭窄の原因となっているプラークを削ぎ取ってから、再度血管を縫合します。

バイパス手術は、脳の血管がつまったり狭くなったりすることによって、脳の血流が十分でない場合に行う手術です。開頭後に、頭皮の血管を持ってきて、脳の血管に縫合してつなぎます。手術用顕微鏡で見ながら、直径1mm以下の血管を縫い合わせる、まさに専門的な高い技術を要する手術です。

(3) 注射・点滴・内服薬による薬剤治療

我が国においても、2005年にt-PAという血栓を溶かす働きのある薬が承認されました。

当院ではこの薬がいつでも使用できる体制をとっていますが、この薬には、脳の血管がつまったことによる半身麻痺などの症状が出てから4.5時間以内に注射を開始しなければならないという時間制限があります。それ以外にも様々な厳しい使用制限があるため、それらの検査や評価を行うために、発症してからできるだけ早い時間に救急車が病院に到着していなければなりません。効き目がよい一方で、致命的な出血を起こす可能性があるからです。この薬によって症状が回復するのは、約3分の1の割合の患者さんです。

薬に対しても十分に習熟して、メスやカテーテルと同じように種類や量を使い分ける意識を持って取り組んでいます。

脳神経外科外来:脳卒中の予防を中心とした連携

当院の脳神経外科外来は、頭痛、めまい、しびれを初めとした脳や神経に関連した患者さんの診療のほかに以下のような特徴があります。

一つ目は、かかりつけ医の先生方とのネットワーク体制のもとでの役割分担です。無症状の脳梗塞や未破裂の脳動脈瘤が見つかったり、頚動脈が狭くなっている患者さんの全てが手術や血管内治療の対象ではありません。このような場合には、ふだんの診察や薬の処方はかかりつけ医の先生方にお願いする一方で、定期的(6ヶ月、12ヶ月)に1回ずつ当院にきて頂いて、これらの病変に変化や進行が見られないかをチェックしています。何か変化があった場合には、かかりつけ医の先生と直通電話でやりとりをしてすぐに対応いたします。

また、脳卒中の治療が終わって退院した患者さんに対しても、このネットワークのもとで、かかりつけ医の先生と当院との「二人三脚体制」で脳卒中の再発予防に取り組んでいます。

二つ目は、多彩な専門外来です。当院では、低侵襲なカテーテル治療についての説明や相談を受ける「脳血管内治療外来」(予約制)、適切な脳卒中再発予防の助言や指導を行う「もの忘れ外来」といった専門外来を設けています。

三つ目は、脳ドックです。分かりやすく言うと、脳に関して行う「人間ドック」です。脳卒中は起こってしまってからでは、重い後遺症を残す場合が少なくありません。脳や脳血管の病気を前もって見つけて治療に取り組み、脳卒中を未然に防ごうという取り組みです。当院ではさらに富山市医師会健康管理センターにおける脳ドックのサポートも行っています。

脳神経外科というと、名前に「外科」がつくために何か怖いイメージを持つ方も時々いらっしゃいますが、そんなことは決してありません。脳卒中に関して何か気にかかる症状がある場合には、かかりつけ医の先生を通じて、または直接受診してください。脳卒中はなんといっても予防が一番です。

*当院で脳神経外科治療を受けた患者さんへのお願いPDF

現在、当院では、「日本脳神経外科学会データベース研究事業(Japan Neurosurgical Database:JND) 」に協力しています。

2018年1月から当院脳神経外科に入院された患者さんの臨床データを解析させて頂き、脳神経外科医療の質の評価に役立てることを目的としています。

解析にあたって提供するデータは、提供前に個人を特定できない形に加工した上で提供しますので、患者さんの個人のプライバシーは完全に保護されます。

本研究の解析に自分のデータを使用されることを拒否される方は、当事業実施責任者の脳神経外科・院長・堀江幸男にその旨お申し出下さいますようお願いいたします。

その他研究事業についての資料の閲覧を希望される方は、研究班ホームページ(http://jns.umin.ac.jp)をご参照ください。

スタッフ

  • 堀江 幸男

    ほりえ ゆきお

    卒業年
    昭和53年3月
    役 職
    顧問
    健康管理センター長
    専門分野
    脳卒中の診断と治療
    学会認定資格
    日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医
    日本脳神経外科学会 認定医
    日本脳卒中学会認定 脳卒中専門医
    日本脳卒中の外科学会認定 技術指導医
    その他
    医師臨床研修制度に係る臨床指導医
  • 久保 道也

    くぼ みちや

    卒業年
    昭和63年3月
    役 職
    副院長
    脳卒中センター部長
    医師臨床研修担当部長
    リハビリテーション科部長
    脳神経外科主任部長
    専門分野
    脳血管内治療・脳梗塞の急性期治療
    学会認定資格
    日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医
    日本脳神経外科学会 認定医
    日本脳神経血管内治療学会認定 指導医
    日本脳神経血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
    日本脳卒中学会認定 脳卒中指導医
    日本脳卒中学会認定 脳卒中専門医
    その他
    富山大学医学部医学科臨床教授
    医師臨床研修制度に係る臨床指導医
    日本摂食嚥下リハビリテーション学会評議員
    臨床研修プログラム責任者養成講習修了
  • 岡本 宗司

    おかもと そうし

    卒業年
    平成4年3月
    役 職
    救急センター部長 脳神経外科部長
    専門分野
    脳神経外科一般・脳血管内治療
    学会認定資格
    日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医
    日本脳神経外科学会 認定医
    日本脳神経血管内治療学会認定 脳血管内治療専門医
    日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    その他
    アメリカ心臓協会 ACLSプロバイダー
  • 赤井 卓也 *非常勤

    あかい たくや

    卒業年
    昭和61年3月
    専門分野
    小児脳神経外科、脳腫瘍、脳血管障害、神経内視鏡手術
    学会認定資格
    日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医
    日本脳卒中学会認定 脳卒中専門医
    日本がん治療認定医機構認定 がん治療認定医
    日本神経内視鏡学会認定 神経内視鏡技術認定医
    日本小児神経外科学会 認定医・理事
    日本内分泌学会認定 内分泌代謝科(脳神経外科)専門医

外来担当表

脳神経外科外来担当表 総合ページ

受付時間 分野
午前 初診
8:30~10:30
再診
8:30~11:00
1診 平尾
(第1・3・5)
久保
(第2・4)
久保 平尾
2診 赤井
(第1・3・5)
平尾
(第2・4)
平尾 平尾 平尾 岡本
3診 堀江 堀江 完全予約制 久保
午後 13:30~15:00 1診 脳血管内治療/久保
(予約制14:00~16:00)
脳神経内科/田口
(13:30~15:00)
2診
3診 脳神経内科/渋谷
(13:30~15:00)
脳神経内科/富岳
(13:30~15:00)

※第2・4月曜 1診の診療は12時まで。

脳血管内治療外来

脳血管内治療とは、脳の病気 (主に脳血管の病気) に対して、極細いカテーテル (医療用の軟らかいチューブ) を使って行う治療のことをいいます。カテーテルを主に足の付け根の動脈へ入れて、脳血管まで到達させて治療をします。脳血管の内側から治療するため、頭蓋骨を切ったりする必要がなく、手術中に脳に触れることもありません。手術による侵襲が少なく、入院期間も比較的短くて済みます。

  • 脳血管内治療を行う主な代表的な疾患は、以下のものです。

    (1)脳動脈瘤
    (2)頚部内頚動脈狭窄症・脳動脈狭窄症
    (3)超急性期脳梗塞
    (4)硬膜動静脈瘻・脳動静脈奇形

これらの疾患は、緊急で治療を行う場合ももちろんありますが、専門外来を受診される皆さんは、外来 (めまい・頭痛などで受診)や脳ドックで受けたMRI検査で見つかった場合が少なくないと思います。そのため、どうしたら良いか分からず、不安な気持ちを抱えていらっしゃることと思います。 そんな場合には、当専門外来[予約制]を訪れてみてください 。これらの病気が見つかった場合に、必ずしもすべて手術や血管内治療が必要というわけではありません。

われわれの役割は、これらの病気がどんな病気かというわかりやすい説明から始まって、その病気の状態や程度・全身の状態・治療に伴うリスクについてきちんと評価を行います。同じ病名であっても、実際には一人ひとり異なるからです。その上で、詳しく説明させていただきます。その結果、あえて治療をお勧せず、責任を持って定期的な経過観察をさせていただく場合も、決して少なくありません。

治療が必要と判断した場合は、脳血管撮影検査を含めた検査入院をいたします。その上で、外科手術と血管内治療のどちらがより適しているかを、十分に検討して治療方針を決めます。

まずは、気軽にご相談ください。

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